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私たちも大好きなスナック菓子やアイスクリーム、石鹸・洗剤、化粧品など、パーム油は、様々な用途に使われています。もちろん日本でもたくさん使われています(食用油として80%~90%使われます)。

スナック菓子の袋の裏側をよくみると、植物油脂や食用油と書かれています。これがパーム油です。


日本人が一年間に使用するといわれているパームオイルの量は約3.5kg。


年間10㎡分の森林を食べていることになるのです。

移動中のバスの中で、ボルネオ保全トラスト・ジャパンの中西さんよりレクチャーを受けます。窓の外は・・・


ず〜〜〜っと、ヤシの実の農園です。

プランテーション と 原生林

プランテーションにやってきました。


パーム油の食用需要が世界的に増加し、アブラヤシの大規模なプランテーション(農園)が急速に拡大しています。さらに食用需要だけでなく、自動車の燃料であるバイオディーゼル燃料としても注目され、さらなる需要の増加が想定されています。

2日目は、アブラヤシの搾油工場を訪れました。


近年、パーム油の食用需要が世界的に増加し、アブラヤシの大規模なプランテーション(農園)が急速に拡大しています。収穫されたアブラヤシの実が次々に運び込まれてきます。


山のように積まれたのは、廃棄されるアブラヤシの実。


奥に広がる緑は、すべてプランテーション(農園)です。

工場に入ると、むせかえるような油のにおい。暑い!床は某中華料理店のごとくつるつる。

アブラヤシは収穫後24時間以内の搾油が必要。

まず、実だけにほぐされた「ヤシの実」を、巨大な圧力釜で蒸し、そこから大量の油が絞られます。

今や世界で最も消費されている植物油となったパーム油。

私たちはいったいどれだけ消費しているのでしょうか?絞りカスは、工場を動かすための燃料なります。

単位面積あたりの収量が他の植物性油脂に比べて圧倒的に多く、年間を通じて収穫が可能、価格が安い、石油と違って再生産が可能で枯渇しない、など資源として優れていることから、アブラヤシの農園面積は数千から数万ヘクタールと大規模にふくれあがりました。


マレーシアでは、1980年代に100万ヘクタールだったプランテーションの面積は2008年には480万ヘクタール(MPOA統計)まで増えました。東京都の面積の20倍以上です。年間輸出量は1540万トン、そのうち日本は55万トンを輸入。世界全体の生産量は3800万トン。

現地の人々にとっては、欠かせない収入源となったアブラヤシ。

1984年から現在までの農園の広がりをご覧ください。

上空から視察してみましょう。


一方を見渡すと、ダナンバレーの原生林が広がります。

ヨウヘイ君曰く「熱帯雨林の広がりを感じる」風景。

一方を見ると、地平線の向こうまでアブラヤシの農園です。


「人間はいったい、どこまで油を取りにいくんや」と語った

ヨウヘイ君の言葉が印象的でした。


現地の人々にとっては、欠かせない収入源であるアブラヤシ。

急速に拡大したアブラヤシのプランテーションは、ボルネオ最大の川、キナバタンガン川沿い近くまでアブラヤシ農園が拡大しました。これによって洪水の被害や水質が悪化するだけでなく、野生動物が移動して生きていくために必要な川沿いの森が失われ、動物への影響が大きな問題となっています。

熱帯には膨大な量の温室効果ガスを貯蔵している泥炭湿地林と呼ばれる森もあるためその開発は大量の二酸化炭素・メタンガスを放出し、気候変動を加速させるうえ、開発によって乾燥した泥炭は深刻な森林火災をも招く可能性があります。また、プランテーションでは農薬や化学肥料を多用したり、搾油工場からの排水などによって、水質・土壌汚染、河川の生態系への影響も報告されています。


プランテーションに関連する課題も存在します。それは、土地の所有・利用権、労働・人権の問題、さらには、パーム油の不安定な価格など・・・。


なにより、世界有数の生物多様性の宝庫である熱帯林の消失は、オランウータンなど貴重な動植物の絶滅・生物多様性の喪失を招いています。


現地の人々の暮らし、野生動物の暮らし、私たちの暮らし、地球の営み・・・私たちは、そのバランスをどのように取ればよいのでしょうか?とても悩ましい問題です。


来週は、熱帯雨林の豊かな自然を紹介しましょう。