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3日目

熱帯雨林の夕暮れ

「ゾウがでた」との知らせを受けて、川を引き返します。どうか逃げないで!


いました。ボルネオゾウです。

10頭ほどの家族です。


ボルネオの固有亜種ボルネオゾウはアジアゾウの仲間です。川沿いを数十キロの範囲で遊動していて、運が良ければ20-30頭以上の大集団に出会うことが出来ます。

陸路移動です。


走り始めると、道路の脇に「アブラヤシ」の木が目立ち始めます。


遠目に見ても・・・水平線のところまで「アブラヤシ」です。


一見すると「きれいな森」なんですが、

「アブラヤシ」以外の「木」が生えていません。目に見えるところすべてです。

今、ボルネオで最も深刻な自然破壊、それがパーム油プランテーションの拡大です。

3日目は雨で〜す。コタキナバルから、サンダカンへ移動します。


今日の取材方針は「雨を避けながら、予定をこなす」です。

え〜そんなことできんの〜っ!


とかいってるうちにサンダカンに到着。

およそ1時間の国内移動です。サンダカンだけに・・・3

バトゥプティという村にきました。

ここにはキナバタンガン川流域に暮らす「川の民(オランスンガイ)」と呼ばれる

人々の集落があります。


ローカルフードをいただいた後、民族音楽とダンスでむかえてくださいました。


ここでは、「持続可能な村の開発」を目指して、ホームステイや森林再生プログラムを実施しています。

そこでお話を伺ったのは、活発に活動しているグループのリーダーです。

マレーシアの法律によると、キナバタンガン川のように川幅の広い川では、川岸から50m、支流の川幅数十メートルの川でも、川岸から10mは森を残さなければならないことになっています。


動物たちの移動経路を作るためです。

ですが、その法律はまったく守られていません。


アブラヤシの農園が違法にその面積を拡大しているのです。


業を煮やしたこのリーダーは、違法に栽培されたアブラヤシを、実力行使で引っこ抜いています。(そして、このことに、政府も理解を示し始めたそうです)それでもいたちごっこが続いているそうです。

川の民

リバークルーズ

リバークルーズ開始です。


すぐに、実力行使の現場へ・・・

生産性を考える「プランテーション」と自然との共存を考える「川の民」。

その争いを止めることはとても難しいのです。いきなり考えさせられる現場です。

全長560キロメートルのキナバタンガン川。


ボートの上で弾いてみました。Moon River、川の流れのように...などなどメドレーで♪

ボートクルーズは、人間の目線を下げることと、動物との間に水を挟むことで、彼らに警戒心を抱かせにくします。


川沿いには食物や睡眠場所を求めて、多くの動物が集まります。


キナバタンガン川流域の一部が保護区に指定されている、ということもありますが、周辺地域でプランテーションが拡大していて、動物がすみかを追われているというのも、川沿いで動物を観察しやすい一つの理由です。

皮肉なことです。


サイチョウ、テングザル、イリエワニがいました。幸先がいい!

およそ5時間ボートに乗っていると・・・日も暮れてきました。


熱帯雨林の夕暮れは、とても幻想的です。


オランウータンやゾウとの遭遇はお預けでしょうか?

ロッジへ戻ろうとしていたところ・・・

民家の近くまで出てきています。


野生のゾウは非常に危険なので、およそ100m近く離れて観察します。スタッフのカメラでは、これが精一杯。


ボルネオゾウは、島に1400~2000頭しか残っていません。

草や木の葉、木の実を食べ、群で移動しながら生活していて、移動ルートは昔からあまり変わりません。


1980年代以降、サバ州ではアブラヤシのプランテーションが大規模に開発されました。ゾウの移動ルートがプランテーションの中を通ることになると、ゾウはアブラヤシの葉や新芽、実を食べてしまいます。農家にとっては大きな被害ですし、力づくでゾウを追い払うため、ゾウがケガをしたり、ときには死ぬこともあります。


人間とゾウの生活圏が重なってくると、このようなトラブルは増える一方です。


人間から見ればゾウは害獣ですが、ゾウにしてみれば昔と同じことをしているだけなのです。

環境を変えてしまった人間が解決しなければならない問題です。


私たちが騒がしいせいか、森へ帰ろうとしています。押尾さんが「(ゾウに)悪いことしたな」とつぶやいたのが印象的でした。